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漸々
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やうやう
ふりがな文庫
“
漸々
(
やうやう
)” の例文
宿直室に
起臥
(
ねおき
)
してゐる校長が
漸々
(
やうやう
)
起きて顔を洗つたばかりのところへ、二里の余も離れた処にある分校の目賀田といふ老教師が先づ来た。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
つらからば一筋につらかれ、とてもかくても
憂身
(
うきみ
)
のはてはとねぢけゆく心に、神も仏も敵とおもへば、恨みは誰れに訴へん、
漸々
(
やうやう
)
尋常
(
なみ
)
ならぬ道に
尋常
(
なみ
)
ならぬ思ひを馳せけり。
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昨日逢つた時、明日辞表を出すつてゐだつけが、何しろ村教育も
漸々
(
やうやう
)
発展の緒に就いた許りの時だのに、千早先生に罷められては誠に困る。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と御声ひくゝ
四壁
(
あたり
)
を憚りて、口数すくなき伯母君が
思
(
おぼ
)
し
合
(
あ
)
はすることありてか、しみじみと
諭
(
さと
)
し給ひき、我れ初めは
一向
(
ひたすら
)
夢の様に迷ひて何ごとゝも思ひ分かざりしが、
漸々
(
やうやう
)
伯母君の詞するどく。
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
兎角して渠は
漸々
(
やうやう
)
三十行許り書いた。大儀さうに立上つて、その原稿を主任の前に出す時、我乍ら余り汚く書いたと思つた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
健は、何十通の古手紙を出してみて、
漸々
(
やうやう
)
一枚、
消印
(
スタンプ
)
の
逸
(
はづ
)
れてゐる郵券を見つけ出した。そしてそれを貼つて送つた。
或
(
ある
)
雨の降る日であつた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
両親は仲々勤勉で、何一つ間違つた事をした覚えもないが、どうしたものか兄の死後、格段な不幸の起つたでもないのに、家運は
漸々
(
やうやう
)
傾いて来た。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何しろ、北海道へ渡つて
漸々
(
やうやう
)
四ヶ月、内地(と
彼地
(
あちら
)
ではいふ。)から家族を呼寄せて
家
(
うち
)
を持つた許りの事で、
土地
(
ところ
)
に深い親みは無し、私も困つて了つた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
泣きたくなるのを漸く辛抱して、
凝
(
じつ
)
と畳の目を見てゐる辛さ。九時半頃になつて、
漸々
(
やうやう
)
「疲れてゐるだらうから。」と、裏二階の六畳へ連れて行かれた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
打見には二十七八に見える
老
(
ふ
)
けた所があるけれど、実際は
漸々
(
やうやう
)
二十三だと云ふ事で、髯が一本も無く、烈しい気象が眼に輝いて、
少年
(
こども
)
らしい活気の溢れた
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それから二人は、一時間前に
漸々
(
やうやう
)
寝入つたといふ
老女
(
としより
)
の話などをしてゐたが、お利代は立つて行つて、今日函館から来たといふ手紙を持つて来た。そして
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
降りこめた雨が三十一日(七月)の朝になつて
漸々
(
やうやう
)
霽
(
あが
)
つた。と、吉野は、買物
旁々
(
かたがた
)
、旧友に逢つて来ると言つて、其日の午後、一人盛岡に行くことになつた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
間もなく、とある空地に梨箱の様な小さい
家
(
うち
)
が一軒建てられて、其家が
漸々
(
やうやう
)
壁塗を済ませた許りの処へ、三十恰好の、背の低い、色の黒い理髪師が遣つて来た。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その宿直室には、校長の安藤が家族——
妻
(
さい
)
と二人の小供——と共に住んでゐる。
朝飯
(
あさめし
)
の
準備
(
したく
)
が今
漸々
(
やうやう
)
出来たところと見えて、茶碗や皿を
食卓
(
ちやぶだい
)
に並べる音が聞える。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
漸々
(
やうやう
)
開園式が済んだ許りの、文明的な、
整然
(
きちん
)
とした、別に俗気のない、そして
依然
(
やはり
)
昔と同じ美しい遠景を備へた此新公園が、少からず自分の気に入つたからである。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠は腰に下げてゐた手拭を裂いて、長い事掛つて
漸々
(
やうやう
)
それをすげた。そしてトボトボと山を下つた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
漸々
(
やうやう
)
の事で、最後の三等車に
少許
(
すこし
)
の
空席
(
すき
)
を見付けて乗込むと、その扉を閉め乍ら車掌が
号笛
(
ふえ
)
を吹く。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
真紅
(
まつか
)
な奴が枝も裂けさうになツてるのへ、真先に僕が木登りして、
漸々
(
やうやう
)
手が林檎に届く所まで登ツた時、「誰だ」ツてノソノソ出て来たのは、そら、あの畑番の六助
爺
(
ぢぢい
)
だよ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それを
漸々
(
やうやう
)
納得させて、二人の帰りの汽車賃と、自分のは片道だけで可いといふので、兼から七円に定次郎から五円、先づ体の可い官費旅行の東京見物を企てたのであつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠は
漸々
(
やうやう
)
筆を執上げて、其処此処手帳を
翻反
(
ひつくらか
)
へして見てから、二三行書き出した。そして又手帳を見て、書いた所を読返したが、急がしく墨を塗つて、手の中に丸めて机の下に投げた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
若しあの歌に、何か危険な思想でも入れてあるとか、又は生徒の口にすべからざる
語
(
ことば
)
でもあるなら格別ですが、……。イヤ余程心配しましたが、これで青天白日
漸々
(
やうやう
)
無罪に成りました。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
少しは
室
(
へや
)
の暖まるまでと、身体を縮めて床の中で待つて居たが、寒国の人は総じて朝寝をする、
漸々
(
やうやう
)
女中の入つて来たのは、ものの一時間半も経つてからで、起きて顔を洗ひに行かうと
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
一週間許り経つて、私は
漸々
(
やうやう
)
少し寒さに慣れて来た。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
松子は
漸々
(
やうやう
)
笑ひを引込ませた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
漸
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
々
3画
“漸々”で始まる語句
漸々的