深秘しんぴ)” の例文
また近くは法月弦之丞が、大府たいふの秘命をふくんで、深秘しんぴの間者牢を訪れるべく、単身江戸を立って行った目標の人ではないか。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高山の間に住む剛健な獣の野性と、翼を持つ鳥の自由と、深秘しんぴを体得した神人の霊性とを兼ねそなえたようなのがその天狗だ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さいさゞなみ鴛鴦おしどりうかべ、おきいはほ羽音はおととゝもにはなち、千じん断崖がけとばりは、藍瓶あゐがめふちまつて、くろ蠑螈ゐもりたけ大蛇おろちごときをしづめてくらい。数々かず/\深秘しんぴと、凄麗せいれいと、荘厳さうごんとをおもはれよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これはジオニゾスの神様が深秘しんぴの中からお現れなすったからです。
この叡山えいざんだけでもまだわれらの眼に見出されぬ深秘しんぴの薬種がどれほどあるかわからない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深秘しんぴを伝えた本がある。420
およそ深秘しんぴなものは人のこころのうごきである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)