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海賊船
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かいぞくせん
「
海賊船かもわからないものを、このままに
黙ってはいられない。すぐに
届け
出なければ……。」と、
一人がいいました。
「こりゃふしぎだ、いま奥方の
供に加わっていったやつは、たしかに、いつぞや
海賊船で別れた
和田呂宋兵衛、ひとりは
裾野の
蚕婆によく似たやつだ……はて、みょうだわい」
成程斯う
聽いて
見れば、
私も
思ひ
當る
節の
無いでもない。また、
海賊船海蛇丸の
一條については、
席上いろ/\な
話があつた。
八幡船が
遠州灘へかかった時から、伊那丸の
意識はなかった。この
海賊船が、どこへ向かっていくかも、おのれにどんな危害が
迫りつつあるのかも、かれはすべてを知らずにいる。
『
眞個に/\、
海軍の
叔父さんが
海賊船を
退治するなら、
私は
敵の
大將と
勝負を
决しようと
思ふんです。』