泥海どろうみ)” の例文
紐育は岩の上に建てられた町ですが、東京の市街の半分は泥海どろうみが土地になった処に建てられて居るのです。ここにも何かの相違があります。
亜米利加の思出 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
おう/\とこゑをかけつてわづか人種ひとだねきぬのをるばかり、八を八百ねんあめなかこもると九日目こゝのかめ真夜中まよなかから大風たいふう吹出ふきだしてそのかぜいきほひこゝがたうげといふところたちま泥海どろうみ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雪は街路を埋め、パリーを泥海どろうみにしている。が君たちは何をしてるのか。君たちを泥水の中に放っておく施設にたいしては非難の声をあげている。しかし君たち自身はそれから脱しようとしているか。
廓街くるわまちから突き出てゐる泥海どろうみの中の島は
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
今日こんにちまで吾々が年久しく見馴れて来た品川の海はわづか房州通ぼうしうがよひの蒸汽船とまるツこい達磨船だるません曳動ひきうごかす曳船の往来するほか、東京なる大都会の繁栄とは直接にさしたる関係もない泥海どろうみである。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
おうおうと声をかけ合ってわずかにまだ人種ひとだねの世にきぬのを知るばかり、八日を八百年と雨の中にこもると九日目の真夜中から大風が吹出してその風の勢ここがとうげというところでたちまち泥海どろうみ
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日までわれわれが年久しく見馴れて来た品川の海はわずか房州通ぼうしゅうがよいの蒸汽船とまるッこい達磨船だるません曳動ひきうごかす曳船の往来するほか、東京なる大都会の繁栄とは直接にさしたる関係もない泥海どろうみである。