油堀あぶらぼり)” の例文
遥か川しもには油堀あぶらぼりの口にかかったしもはしと、近く仙台堀にかかったかみはしが見え、また上手には万年橋まんねんばし小名木川おなぎがわの川口にかかっている。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
だから、それだから、行留ゆきどまりかなぞと外聞ぐわいぶんわることをいふんです。——そも/\、大川おほかはからここへながくちが、下之橋しものはしで、こゝがすなは油堀あぶらぼり……
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
丁度兄の伊藤八兵衛が本所の油堀あぶらぼりに油会所かいしょを建て、水藩の名義で金穀その他の運上を扱い、業務上水府の家職を初め諸藩のお留守居、勘定役等と交渉する必要があったので
深川油堀あぶらぼりの伊勢八という資産家の娘に生れた兼子の浮き沈みである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
深川の油堀あぶらぼり
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
なにも、油堀あぶらぼりだつて、そこにづらりとならんだくらが——なかには破壁やれかべくさえたのもまじつて——油藏あぶらぐらともかぎるまいが、めう油壺あぶらつぼ油瓶あぶらがめでもんであるやうで、一倍いちばい陰氣いんき
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たしかにこゝにあつたんですが、町内持ちやうないもちぶんだから、まだ、からないでゐるんでせうな。もつともかうどろ/\にまつては、油堀あぶらぼりとはいへませんや、鬢付堀びんつけぼりも、黒鬢くろびんつけです。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)