なげ)” の例文
奴はなげえこと己をこき使いやがったよ、畜生! 己ぁあの船室ケビンへ入りてえんだ、そうさ。奴らの漬物ピックルだの葡萄酒だの何だのがほしいんだ。
是から一緒に逃去って、なげえ浮世にみじけえ命、己と一緒に賊を働き、栄耀栄華えようえいが仕放題しほうだいを致すがよい、心を広く持って盗賊になれ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
縁があって邂逅めぐりあって、ゆたかに暮していればいいが、もしひょッと貧乏に苦しんででも居るのだったら、手土産代りと心がけて、何があっても手を付けず、この百両はなげえこと
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「なあに、お前様、どうせ日はなげえでがす。はあ、お静かにござらっせえまし。」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よ。こんな気のなげ療治りょうじなんかを待っていられるものか
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「己はずいぶんなげえ間一人にいじめられるのを我慢して来たんだ。この上またおめえにいじめられてたまるもんか、ジョン・シルヴァー。」
それはなんにしても芽出度めでてえことだ、われも骨を折った甲斐があり、若旦那もなげえ間心配しんぺえをなすった甲斐があり、お嬢さまも吉原のような、あんな恐ろしい処へ身をいれて
では、まことの船乗としてあの男の魂を安らかならしめ給え! で、ジョン・シルヴァー、お前はなげえこと己の仲間だったが、これからはもう仲間じゃねえぞ。
いや貴方あんたは由兵衞さんとか仰しゃったね……あの折はなげえ間お目に懸り、また帰り際には飛んだ御馳走になりまして、何んとハアお手当をね沢山に遣ってくれろと云って下すったが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴方たちにお目にかゝっても御挨拶ごええさつも出来ねえ人間だから、馬鹿な野郎と思召しましょうが、重さんに逢ってから是れまでは随分なげえ間の話ですが、わっちは其の侍のなり恰好も知ってるから
大切でえじなお嬢さまが入らしって詫言をなさるから、全く改心したと思ってゆるして遣りやしたが、あの野郎私をだましやアがって、みんなあの野郎のたくみと知らねえで、なげえ間お嬢さまに苦しみを掛けて