歌人うたびと)” の例文
ゑせ歌人うたびとは、かゝる言葉のはたらきあるはたらきよりは、猶ふるき言葉のあたひ無きあたひを尊むべきものと思へるなるべし。
雲のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この光多くの星より我許わがもとに來れど、はじめてこれをわが心に注げるは、最大いとおほいなる導者を歌へる最大いなる歌人うたびとたりし者なりき 七〇—七二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
歌人うたびと住居すまいも早や黄昏たそがれるので、そろそろ蚊遣かやり逐出おいだしを懸けたまえば、図々しいような、世馴れないような、世事に疎いような、また馬鹿律義でもあるような
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その點でも、武藏は、近世人の圈内に置かれるべき人だし、思考してゆくにも、萬葉の歌人うたびとや、記紀の史上の人々の血を汲みとるよりも、われわれには遙かに身近いここちがするのである。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
風雅の歌人うたびととみせかけて、貴公も案外の山師だな。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
雲居の君のこのさまよ、世の歌人うたびとに似たらずや
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
鬼をもおこ歌人うたびと
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かくて我に物言へる魂、他の光の間に移りまじりつゝ、天の歌人うたびとの中にてもわざのいたくすぐるゝことを我に示せり 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
鶴は相見てすなわちはらむ、それ歌人うたびとはこの濁世に処して、あたかもとび烏の中における鶴のごときものであるから、結婚の以前、既にはやを宿さぬというすうはあるまい
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その点でも、武蔵は、近世人の圏内けんないに置かれるべき人だし、思考してゆくにも、万葉の歌人うたびとや、記紀ききの史上の人々の血を汲みとるよりも、われわれには、はるかに身近いここちがするのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲居の君のこのさまよ、世の歌人うたびとに似たらずや
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
サラ、レベッカ、ユディット、及び己がとがをいたみて我を憐みたまへといへるその歌人うたびと曾祖母そうそぼたりし女が 一〇—一二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
加茂川は鬼神おにがみの心をもやわらぐるという歌人うたびとであるのみならず、その気立が優しく、その容貌も優しいので、鼻下、あぎとひげたくわえているが、それさえ人柄に依って威厳的に可恐こわらしゅうはなく
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)