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業因
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ごふいん
見て
扨々誠に以て御
芳志の段有難き仕合なり然れども此度の
災難かく
成行も
宿世の
業因なれば誰を
恨み彼を恨みんとは存じ申さず
煙草入を落せしことが我が
誤りなり
斯る大金を
息も
絶々と成て頼みなき世の有樣に
熟々思ひ
巡らす樣如何なれば
掛る
無實の罪に
罹りし事ぞ是も前世の
業因ならんと
斷念ながらも
餘りと云へば
情なし是
全く
伯父九郎兵衞が
賄賂を
上げ
恐れながら申上ます其儀は私し一向に
覺え御座りません然るに高田の役所に於て
數度の
拷問に
逢ひ
骨々も
碎け苦痛に
堪兼是非なく
無實の罪に
陷入りし所又々
再應の御吟味
誠に有難仕合せに存じ奉ります
訴訟人憑司は
現在私しの伯父ゆゑ如何成前世の
業因かと存じ
斷念無實の
罪に
服せしと申立ければ越前守殿是を