棒鼻ぼうはな)” の例文
「おっと、御念ごねんにはおよばねえ。おかみゆるしておくんなさりゃァ、棒鼻ぼうはなへ、笠森かさもりおせん御用駕籠ごようかごとでも、ふだててきてえくらいだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
見るより今日出役しゆつやく與力よりき駈來かけきたる是ぞ島秀之助といふ者なり大音だいおんあげ下乘々々げじよう/\と制せしが更にきかぬ風してなほも門内へ舁込かきこまんとす此時このとき島秀之助駈寄かけより天一坊の乘物の棒鼻ぼうはなへ手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
棒鼻ぼうはなが支えて、右近の駕籠もつづいてまったから、れをはぐって顔を出した右近が
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
五つの駕籠がギイときしんで地を離れたかと思うと、棒鼻ぼうはなをそろえて——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
付て油斷ゆだんがならず何卒なにとぞ御迷惑ごめいわくながら御同道下さらば丁度旦那樣の御供の樣にて惡漢わるものつく氣遣きづかひなく心丈夫に存じますといふに後藤は見向みむきもせず夫は貴樣の勝手次第かつてしだいにといひはなし一向構はず行中ゆくうちにはや戸塚の棒鼻ぼうはなへ入りたるに或料理屋の勝手かつてかつを佳蘇魚まぐろひらめの數々の魚見えければ後藤は一杯やらんと此家このやに入てさけさかな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
棒鼻ぼうはなにおどる提灯……まっしぐらに妻恋坂へかけつけました。この時の左膳は、理由わけなんかどうでもよい、ただ柳生流第一の使い手と、一度刃を合わせてみたいという、熱火のような欲望に駆られて。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)