根占ねじめ)” の例文
根占ねじめの花に蹴落けおされて色の無さよ、とあやしんで聞くと、芸も容色きりょう立優たちまさった朝顔だけれど、——名はお君という——そのは熊野をおどると、後できっとわずらうとの事。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其西の行きどまりはき上げた品川堀のつつみやぶだたみになって、其上から遠村近落のかしの森や松原を根占ねじめにして、高尾小仏から甲斐東部の連山が隠見出没して居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それらの植物の間に、最も私を喜ばせたのは、雲仙では普賢ふけんの絶頂でなければ生えていない黄花石楠花きばなしゃくなげがここでは至るところの岩石の根占ねじめとなって、つつじと共に生えていることである。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
驛路えきろうますゞおと、しやんと道筋みちすぢながら、時世ときよといひ、大晦日おほみそか道中だうちうひつそりとして、兩側りやうがはひさしならぶる商賈しやうこいへまきそろへて根占ねじめにしたる、門松かどまつつらねて、としかみおくるといふ
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)