柑子こうじ)” の例文
そもそも病人というものは初めには柑子こうじとか、たちばな梨子なし、柿などの類を食べるけれども、後には僅にお粥をもって命をつなぐようになる。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
福寿草だのやぶ柑子こうじだのがあるでしょうね。いつかキャベジのようなと仰云った葉牡丹はやめました、あれはいいようで何か陰気だから。
このごろでは柑子こうじ類すらもお口にお触れになりませんから、御衰弱が進むばかりで、御心配申し上げるような御容体におなりあそばしました
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
大きな雄鶏おんどりである。総身の羽が赤褐色で、くび柑子こうじ色の領巻くびまきがあって、黒い尾を長く垂れている。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
その由なしとて皆々返しまいらせて道の用意とて大柑子こうじを三つ留めたまえりとぞ、僧宗叡は帰朝すれども伴いたまえる親王は見えたまわねば唐土へ生死を尋ねたまえりける
呉の福建は、茘枝れいしと龍眼の優品を産し、温州うんしゅう柑子こうじ蜜柑みかん)の美味天下に有名である。魏王の令旨とあって、呉では温州柑子四十荷を、はるばる人夫に担わせて都へ送った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(間。娘かんとす。)それからなあ。ついでに少し果物を取ってきてくれい。春ばかりでは物足りない。夏もいるからなあ。柑子こうじが好い。よく真赤まっかに熟したのを買ってきてくれい。
伊賀の服部はっとり三河の足助あすけ矢矧衆やはぎしゅうつわものどもが、色さまざまの旗標はたじるし立て、黄や緋縅や白檀びゃくだん磨きや、啄木たくぼく花革はなかわ、藤縅や、さては染め革や柑子こうじ革や、沢瀉おもだかなどの鎧を着、連銭葦毛れんぜんあしげ、虎月毛
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
月の景色を見るさまの、その行く処には、返咲かえりざきの、桜が咲き、柑子こうじも色づく。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仏壇の柑子こうじを落す鼠かな
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
藪では柑子こうじが珠をつづった。沼の氷が日に日に解け、せりがはっはっと芽を吹いた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「でも、柑子こうじ坂で聞いておりましたもの」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かやや、勝栗かちぐり蜜柑みかん柑子こうじたちばな
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
柑子こうじ牡丹ぼたん
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)