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板庇
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いたびさし
ふりがな文庫
“
板庇
(
いたびさし
)” の例文
「さあ、
御
(
お
)
あたり。さぞ御寒かろ」と云う。
軒端
(
のきば
)
を見ると青い煙りが、突き当って
崩
(
くず
)
れながらに、
微
(
かす
)
かな
痕
(
あと
)
をまだ
板庇
(
いたびさし
)
にからんでいる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さう言ひ乍ら平次は窓の外を覗きましたが、
板庇
(
いたびさし
)
がひどく腐つて居て、曲者がこれを渡つて窓へ近づいた樣子もありません。
銭形平次捕物控:257 凧糸の謎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
例の新築された会所のそばを通り過ぎようとすると、表には
板庇
(
いたびさし
)
があって、入り口の
障子
(
しょうじ
)
も明いている。寿平次は足をとめて、思わずハッとした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と思うと、それがまた
礫
(
つぶて
)
を投げるように、落として来て、太郎の鼻の先を一文字に、向こうの
板庇
(
いたびさし
)
の下へはいる。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とある雨の夜、父は他所の宴会に招かれて
更
(
ふ
)
けるまで帰らず、離れの十畳はしんとして鉄瓶のたぎる音のみ
冴
(
さ
)
える。外には程近い
山王台
(
さんのうだい
)
の森から軒の
板庇
(
いたびさし
)
を静かにそそぐ雨の音も佗しい。
やもり物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
陣屋の
板庇
(
いたびさし
)
から白い月がさしている。秀吉はそういいながら
湯鳴
(
ゆな
)
りする釜の前にしばし
畏
(
かしこ
)
まっていた。陣中でも折々は茶に集まったが、かくの如く秀吉が
素直
(
すなお
)
に
寂
(
せき
)
として見せたことはない。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春雨や音こゝろよき
板庇
(
いたびさし
)
蘆角
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
小鳥来る音うれしさよ
板庇
(
いたびさし
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
小鳥来る音嬉しさよ
板庇
(
いたびさし
)
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
板庇
(
いたびさし
)
に人の踏んだ跡があるか、この下の大地に樣子の跡がありさへすれば曲者は此處から忍び込んで、寢酒で熟睡して居る主人祐玄を絞めに行つたに違ひありません。
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三段登って廊下から部屋へ
這入
(
はい
)
ろうとすると、
板庇
(
いたびさし
)
の下に
傾
(
かたむ
)
きかけていた
一叢
(
ひとむら
)
の
修竹
(
しゅうちく
)
が、そよりと夕風を受けて、余の肩から頭を
撫
(
な
)
でたので、すでにひやりとした。
椽板
(
えんいた
)
はすでに
朽
(
く
)
ちかかっている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小鳥来る音うれしさよ
板庇
(
いたびさし
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
小鳥来る音嬉しさよ
板庇
(
いたびさし
)
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しばらくすると、平次は月の光に白々と見える、右手の長屋の
板庇
(
いたびさし
)
の上を指しました。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
といふのは、洒落れた
板庇
(
いたびさし
)
が
朽
(
く
)
ち果てて、蒼然と
苔
(
こけ
)
が蒸して居るので、人間が踏めば一とたまりもなく崩れ落ちるに違ひなく、第一その上を踏めば足跡が着かないわけはないのです。
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
庇
漢検準1級
部首:⼴
7画
“板”で始まる語句
板
板塀
板葺
板敷
板木
板囲
板片
板子
板橋
板戸