木魚もくぎよ)” の例文
灯は明々あか/\と壁をれ、木魚もくぎよの音も山の空気に響き渡つて、流れ下る細谷川の私語さゝやきに交つて、一層の寂しさあはれさを添へる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
微祿びろくした舊幕臣の娘に育つて、おまけに私の母方はゝかたの祖父は、私の書いた「舊聞日本橋きうぶんにほんばし」の中に、木魚もくぎよの顏と題したほど、チンチクリンのお出額でこなのだが
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
平次の指は眞つ直ぐに、佛壇の前にゑた禿はげちよろの木魚もくぎよを指さしてゐるのでした。
其内そのうちうすしもりて、うら芭蕉ばせう見事みごとくだいた。あさ崖上がけうへ家主やぬしにははうで、ひよどりするどいこゑてた。夕方ゆふがたにはおもていそ豆腐屋とうふや喇叭らつぱまじつて、圓明寺ゑんみやうじ木魚もくぎよおときこえた。ます/\みじかくなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「さうね、でも、木魚もくぎよを頬ぺたに吊してゐるやうにも見えるわね。」
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
「さうね。でも、木魚もくぎよを頬ぺたに吊してゐるやうにも見えるわね。」
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)