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木隱
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こがく
夏の
比、
染殿の
辰巳の
山の
木隱れに、
君達、
二三人ばかり
涼んだ
中に、
春家も
交つたが、
此の
人の
居たりける
傍よりしも、
三尺許りなる
烏蛇の
這出たりければ、
春家はまだ
氣がつかなかつた。
其處へ、
門内の
植込の
木隱れに、
小女がちよろ/\と
走つて
出て、
默つて
目まぜをして、
塀について
此方へ、と
云つた
仕方で、
前に
立つから、ござんなれと
肩を
搖つて、
足を
上下に
雀躍して
導かれる