木兎みみずく)” の例文
それを当て込みに、臨時の休み茶屋や食い物店なども出来る。柿や栗やすすき木兎みみずくなどの土産物を売る店も出る。まったく平日と大違いの繁昌でした。
半七捕物帳:58 菊人形の昔 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……其時、おや、小さな木兎みみずく、雑司ヶ谷から飛んで来たやうな、木葉このは木兎ずく青葉あおば木兎ずくとか称ふるのを提げて来た。
玉川の草 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
このほかにも木兎みみずくの句はなほ『猿蓑』に一句あるが、ふくろうの句は元禄七年頃の『蘆分船』といふ俳書に出て居るのが、余が知るうちでは最も古い句である。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
私はあの時木兎みみずくかと思った、ちかぢかと寄って見る鳶は頭のまるい、ほんとに罪のない童顔どうがんの持主であった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
何処かで角笛でも吹くような木兎みみずくの叫声が二度三度聞えると、それが合図ででもあるように鼠色の衣をすっぽりと被った「闇」は、木蔭から木蔭に身を潜めて
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
明神の山の木兎みみずくのごとくあまりにその耳をとがらしあまりにその眼を丸くし過ぎたりとむる人あらば如何。はて是非もなし。この責任のみは自分が負わねばならぬなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのへんにも幾つか祠があり、種々の神仏が祭ってあるらしいが、夜だからよくは分からない。老木の梢には時々木兎みみずく蝙蝠こうもりが啼いて、あとはしんとして何の音もしない。
仏法僧鳥 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
諸君は、二年程前の秋の日本美術院展覧会で、同人経川槇雄作の木彫「雞」「牛」「木兎みみずく」等の作品と竝んで「マキノ氏像」なるブロンズの等身胸像を観覧なされたであろう。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
その間に静止している巨大な甲虫かぶとむし、華麗な蝶々、実物大の鳩、雛子ひよっこ木兎みみずく……。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なんのためにあなたは木兎みみずくのように
木兎みみずくの家にて
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
小さい者の玩具としては、犬張子、木兎みみずく達摩だるま、鳩のたぐい、一々数え切れません、いずれも張子でした。
我楽多玩具 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今日も雨が降るので人は来ず仰向あおむけになつてぼんやりと天井を見てゐると、張子はりこの亀もぶら下つてゐる、すすきの穂の木兎みみずくもぶら下つてゐる、駝鳥だちょうの卵の黒いのもぶら下つてゐる
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
仲通の小紅屋の小僧は、張子の木兎みみずくのごとく、目を光らして一すくみになった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
藁壁の木兎みみずくの家の窓から顔が出る。——円い眼だ。あ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
しかし時代の変遷で、その我楽多もだんだんに減って来るので困ります。大師だいし達摩だるま雑司ぞうしすすき木兎みみずく亀戸かめいど浮人形うきにんぎょう、柴又のくくざるのたぐい、みんな私の見逃されないものです。
我楽多玩具 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
従つて木兎みみずくもやはり同じ事に取扱はれて居るが
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)