まがり)” の例文
越後南蒲原みなみかんばら鹿峠かとうげ村大字まがり谷の字蹈鞴沢は、往古この沢に鍛冶の住せるにより、その山を鉄屑かなくず山といい、沢をタタラサワと呼んだと、四年前に出た『嵐渓史』にある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
山木と河合の二少年は、箱車をまがり道のところでとめると、いそいで運転台からとびおりた。そして息せききって、さっき競技用自動車の落ちていった崖下をのぞきこんだ。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
下手や言うて、知らぬ云うて、まがりなりにもお座つき一つ弾けぬ芸妓げいこがどこにある。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
佐吉が案内したのは、薄暗い廊下を幾まがりもした、奧の/\一と間でした。
旨となしかりにもまがりし事はきらひ善は善惡は惡と一筋ひとすぢにいふ者なれば如何いかにせんみづきよければうをすまずのたとへもれず朋輩の讒言ざんげんに依り浪人なし此裏借家うらじやくやうつり住み近頃多病たびやうになりたれど心持のよき其日は此護國寺の門前へ賣卜ばいぼくに出わづかの錢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
向う柳原、七まがりの路地の奧、洗ひ張り、御仕立物と、紙に書いて張つた戸袋の下に立つて、平次は二階に聲を掛けました。よく晴れた早春のある朝、何處かで、寢けた雄鷄をんどりが時をつくつて居ります。