早暁そうぎょう)” の例文
それが今日は生憎あいにく早暁そうぎょうからの曇りとなった。四方よもの雨と霧と微々たるしずくとはしきりに私の旅情をそそった。宿酔しゅくすいの疲れも湿って来た。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
翌日の早暁そうぎょう、帝都の西郊せいこうから毒瓦斯ガスフォルデリヒトをきちらし、西風せいふうにこれを吹き送らせて全市民を殺戮さつりくしつくそうという、前代未聞の計画であった。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
落胆がっかりしたように、宗厳は云ったが、では早暁そうぎょうにでも出直して来るゆえ、ぜひぜひ、出立の間際でも、もう一度、仕合ってもらいたいと口を極めて頼んだ。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛知県などでは旧十一月の山神祭やまのかみまつりに同じ事をするようだが、共に十五日の早暁そうぎょうにその小屋を焼くことをもって、祭典の終りとしていることは一つである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
死体は即刻そっこく大学へ廻され、剖検ぼうけんされた。結果としてその早暁そうぎょう二時と三時との間に殺害さつがいされたことが判明した。死因は刺殺しさつで、刃物は美事みごとに心臓に達している。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
忠勝が堺を出たのは、まだ真っ暗な早暁そうぎょうであったから——以後の主君の動静はわからない。が、恐らくは今日もまだ、堺に御逗留ごとうりゅうではないかと想像されていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その早暁そうぎょう、まだ明けやらぬ上海シャンハイの市街は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に沈澱ちんでんしていた。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あくる朝は常より早目に起きたにもかかわらず、彼がうがい手洗ちょうずをつかっていると、もうどかどかと早暁そうぎょうの大廊下から玄関へと、人の跫音あしおとがながれてゆく気配であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早暁そうぎょうに、十万の軍をえっし、諸将の口から、昨夜来、ここへ馳せつけて加わった新しい兵数の報告を聞き、その部将たちに目通りを与え、また、老将千葉介常胤や上総介広常には
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卯の刻といえば早暁そうぎょうだった。召しをうけた人々は、何事かと暗いうちに起き出て来た。ここ久しく軍議もなかった。主君の胸に、そも何事か、機も熟せりと神算が立ったのだろうかと。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ、早暁そうぎょうなので、役宅の机にも、たれも出仕していない。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは秀吉が早暁そうぎょうに姫路を出発していた日にあたる。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早暁そうぎょう出立しゅったつだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)