施餓鬼せがき)” の例文
難船の施餓鬼せがきと、不浄のはらいとに用いようということになり、そこで直ちに、明日は施餓鬼と祓浄はらいきよめとの触れが廻ると、皆々
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
下手の遠景に三上山がそれかと思うほど淡く影を現している。舞台下手にちょっぽり枯田のあぜが現れ、小さい石地蔵、施餓鬼せがきの塔婆など立っている。
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
昔ほど普遍的ではないようだけれど、葬式には施餓鬼せがきということが行われた。つまり弔問客にとむらい菓子とか、菓子の代金だけの切手を配るのである。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
探し歩いたが見当らず、施餓鬼せがきから裏の大きな蓮池はすいけをめぐり、石のり橋を渡って来ると、こんどはほんとにお坊ッちゃんが、オシッコだと言い出した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女はどうしても本家の姉の代理として、毎年行われる上本町のお寺の施餓鬼せがきへ行かなければならなかった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
満月どののために仰山ぎょうさん施餓鬼せがきをなされまして、御自身も頭を丸めて法体ほったいとなり、法名を友月ゆうげつと名乗り、朝から晩までかねをたたいて京洛の町中を念仏してまわり
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
塚前村観音堂へ因果塚を建立致し、観音寺の和尚道恩どうおんことごとく此の因縁を説いて回向を致しましたから、村方の者が寄集まって餅を搗き、大した施餓鬼せがきが納まりました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ともすると六区の池に投身があったり、子供が落ちたり、甚だ不縁起とあって、明治二十四、五年頃、池中へ大伝馬をうかべ、衆僧を招いて盛んにお施餓鬼せがきを行ったくらいだ。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
四条五条の橋の上にて大施餓鬼せがき執行しゅぎょうせしめられましたところ、公儀よりは一紙半銭の御喜捨もなく、ついえはことごとく僧徒衆の肩にかかり、相国寺のみにても二百貫文を背負い込んだとやら。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
禅寺ぜんでらでは食事のとき、施餓鬼せがきのため飯を一はしずつはちからわきへ取除とりのけておく。これを生飯さばと言うが、臨川寺ではこの生飯を川へ捨てる習慣になっていました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
どうしても遁れられないが、死霊よけのために海音如来かいおんにょらいという大切の守りを貸してやる、其の内に折角施餓鬼せがきをしてやろうが、其のおまもり金無垢きんむくじゃにって人に見せると盗まれるよ
四条五条の橋の上にて大施餓鬼せがき執行しゅぎょうせしめられましたところ、公儀よりは一紙半銭の御喜捨もなく、ついえはことごとく僧徒衆の肩にかかり、相国寺のみにても二百貫文を背負ひ込んだとやら。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
「左様さ、どこぞの供養か、施餓鬼せがきへでもおいでなさるのだろうさ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
き立てられ、急ぎ本堂へ直りますると、かれこれ坊主の四五十人も押並おしならび、いとねんごろなる法事供養をいたし、施餓鬼せがきをいたしまする内に、もはや日は西山せいざんに傾く事になりましたゆえ
施餓鬼せがきとおはらいの翌日のことでありました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
百姓も大分だいぶ困っている様子でございますから、何うか施しを出したいものでがす、それに此の皿のために指を切られたり、中には死んだ者も有りましょうから、どうか本山寺様で施餓鬼せがきを致し
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
供養でなければ施餓鬼せがきかも知れない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)