撒布さんぷ)” の例文
火室の前の方に薄く、手前へ向って次第に厚くなるように撒布さんぷしなければならないと教えながらも、実際は反対の結果に終ったりする。
空から撒布さんぷされたビラは空襲の切迫を警告していたし、脅えた市民は、その頃、日没と同時にぞろぞろと避難行動を開始した。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
天下に撒布さんぷされたあらゆる標本を回収しそのただ一枚だけを残して他はことごとく焼いてしまったとしたら、その残った一枚は少なくも数百円
地図をながめて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
拭ふが如く正氣に返つて、谷中の堂に銅の大手洗鉢おほてあらひばちを寄進したと言つたたぐひの噂が、風に乘つて撒布さんぷされるやうに、江戸中へ廣がつて行つたのです。
三平の所属は、武田家の乱波組らっぱぐみ(隠密)であった。敵国攪乱こうらん、諜報、聯絡、流言浮説の撒布さんぷなど、あらゆる実戦以外の戦闘に跳躍しているひとりであった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
普通の塩水を穀倉に撒布さんぷしまた床板ゆかいたの裂け目に流し込んでおくことを教えたり、穀象虫を駆除するために
その地方に大恐惶きょうこうをきたし、毒団子を撒布さんぷするやら、鼠の伝染病の黴菌をまくやら、非常な騒ぎをした。
動物の私有財産 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
田舎では田鼠の撲滅策として、久しい前からチブス菌を撒布さんぷすることが奨励せられた。
拂曉あけがたからそらあまりにからりとしてにぶやはらかなひかりたなかつた。毎日まいにちくる疾風しつぷうとほ西山せいざん氷雪ひようせつふくんで微細びさい地上ちじやうおほうて撒布さんぷしたかとおもふやうにしもしろつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
拭うがごとく正気に返って、谷中の堂に銅の大手洗鉢おおちょうずばちを寄進したといったたぐいの噂が、風に乗って撒布さんぷされるように、江戸中へ広がって行ったのです。