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振亂
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ふりみだ
聞て重四郎
成程々々好氣味なり然し此
儘斯しても置れまいと兩人
呟き居る折から此物音に驚きて
隱亡彌十
髭蓬々と
髮振亂し手には
鴈投火箸を
携へて
駈付見れば是は如何に餘りし
黒髮を
振亂せし廿四五歳の女と三十
近き
色白き男と
組つほぐれつ爭ひ居たしかば扨は
此奴等色事の
喧嘩にてもなすかや併し見て居られぬとて漸々に
双方を
放れず二人の娘に逢して
呉と
髮もおどろに
振亂し狂氣の如き
形容に長庵
殆どあぐみ
果捨置時は此女から
古疵が
發らんも知れぬなり
毒喰ば皿とやら可愛さうだがお安めも殺して
仕舞ふ
外は無いが如何なる手段で殺して
呉ん内で殺さば
始末が惡し何でも娘兩人に逢して
遣と
誘引出し人里遠き所にて
拂放すより思案は