持合もちあわ)” の例文
庄「旦那妙なもので、これは本当に真の友達で、銭が無けりゃア貸してろう、らが持合もちあわせが有れば貸そうという中で有りますと」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
怪談の目星を打たれる我々も我々であるが、部署を定めて東奔西走も得難いね。生憎あいにく持合もちあわせが無いとだけでは美術村の体面にかかわる。一つ始めよう。
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
智恵ちえせとな。はッはッは。これは面白おもしろい。智恵ちえはわたしよりおまえほう多分たぶん持合もちあわせているはずだがの」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
素より綾麿風情に持合もちあわせがある筈もなく、それに古金屋共が、あの仏体の中から、一つだけを素直に売ってくれようとは、南郷綾麿想像もしていなかったのです。
半裸体はんらたいの女が幾人となくごろごろ寐転ねころがっている部屋へ、無断で闖入ちんにゅうしても、風紀を紊乱びんらんすることの出来るような体力は既に持合もちあわしていないものと、見做みなされていたと言ったなら
勲章 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
虎「それじゃア持合もちあわせていますから私が立替えて上げるが、端銭はしたはまけて置いておくれな、明日あした一円上げますからさ」
「あっしゃァまだ瘡気かさけ持合もちあわせはござせんぜ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わっちはもうけえりやす、沢山たんと持合もちあわせはございませんが此処こゝに金が十円有りますから、置いてまいります、お足しには成りますめえが、又四五日の内に手間料が取れると持って来ます
ついては誠に失礼でございますが、持合もちあわせている四十金を差上げますから、これでその真珠とやらをい整え、御全快になれば手前においても悦ばしく存じ、又お嬢様に於ても御孝行が届きますから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
打明うちあかし十九ケ年の年月としつきを経ていもとお久に巡り合い身請をして此の庄三郎と夫婦にさせんと存じて約束致し候其の帰りみちなりかくなるは不孝の罪持合もちあわせたるかね五百両は其方様そなたさまに差し上げ候間是にて妹お久を
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
又文治郎の方でも持合もちあわせた金がこれだけあるからやる。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)