いま)” の例文
すくなくも、あの精悍せいかん一徹なあぶな気が、今夜だけはないようです。或いは、それを自分の短所と知って、大いにいましめているのかも知れない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
極刑中の極刑を以つていましめられるところに、無智なるが故の爲政者の恐怖と、封建性のからを守り拔かうとする見かけだけの嚴重さがあつたわけです。
此頃このごろ室中しつちゆうきたつて、うも妄想まうざうおこつて不可いけないなどうつたへるものがあるが」ときふ入室者にふしつしや不熱心ふねつしんいましめしたので、宗助そうすけおぼえずぎくりとした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
取んとしたる騙子ごまのはひなり其時彼奴きやつ引捕ひきとらへしに宿屋の者ども寄集り片小鬢かたこびんの毛を引拔て入墨いれずみをなしたるなり因て某し彼奴をいましめ以後惡心出しなら其の入墨を水鏡みづかゞみうつし見て心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と奥座敷で菊龍のあげる誇張した嬌声を、「菊ちゃん、あんまり声が大きすぎますよ」とお幸がいましめる。人々はいつしか、あの一とき感じた死の厳粛さを忘却してしまったのである。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
通俗の言葉で云えば人間が贅沢ぜいたくになる。道学者は倫理的の立場から始終しじゅう奢侈しゃしいましめている。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)