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くわいさう
それから
又た
自分が
學校時代によく
進撃した
藪そばや
梅月の
事や、
其他樣々な
事を
懷想して、
翼あらば
飛んでも
行きたいまで
日本の
戀しくなつた
事も
度々あつたが
私の
如く
現在其難に
臨んで、
弦月丸が
悲慘なる
最後を
遂ぐるまで、
其甲板に
殘つて
居つた
身は、
今更其始終を
懷想しても
身の
毛の
彌立つ
程で、とても
詳しい
事を
述立てるに
忍びぬが
滊車の
窓から
投出した
事などを
懷想して、つくづくと
情なくなつて
來た。