愚劣ぐれつ)” の例文
よ、愚劣ぐれつな×(2)に対してこぶし子供こどもらを、かほをそむけてのゝしをんなたちを、無言むごんのまゝ反抗はんこう視線しせんれつきつけるをとこたちを!
……俺は実は今まで心の中で君を軽蔑していたが、今度は石ノ上を軽蔑しよう。……俺は恋なぞと云う愚劣ぐれつなものは全く信用しないからな。俺は大体、「夢想家」と云う奴は軽蔑するんだ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
ドノバンはなんのためにその頑冥がんめいなほこりと愚劣ぐれつな人種差別とをすてることができないのだろう。なぜその偏狭へんきょうな胸をおしひらいて心の底からぼくらと兄弟になることができないのだろう。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「まあ野々宮さんのところつて、御談義を聞いてい」と云ひ棄てゝ、相手は池の方へ行き掛けた。三四郎は愚劣ぐれつ看板かんばんの如く突立つゝたつた。与次郎は五六歩つたが、又笑ひながら帰つてた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まず第一に、かれは恭一のやり方がきわめて愚劣ぐれつであり、自分に対するこの上もない侮辱ぶじょくであると思った。自分が道江を思っていることは、道江の父にはもうはっきりわかっているにちがいない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「それは愚劣ぐれつきわまる。よろしいか。わしの考え出した作戦というのは、至極しごく簡単明瞭かんたんめいりょうである。それは、ドイツに対して『わがイギリスは貴国を援助するぞ』と申入れれば、それでよろしいのじゃ」
二本差の小豆澤小六郎から見れば、出刄庖丁は如何にも愚劣ぐれつです。
いまひとりの「忠良ちうりゃう臣民しんみん」が、こゝに愚劣ぐれつ生涯しょうがいえた