御番ごばん)” の例文
御前様づきのお側女中との二人が一人のしも女中を雇っている世帯へ、食事は御番ごばん——主人の食事係が賄うことにして、部屋だけ居候だった。
殿様は翌日御番ごばんでお出向でむきに成ったあとへ、隣家となりの源次郎がお早うと云いながらやって来ましたから、お國はしらばっくれて
これよりき四年十月朔に、抽斎は月並つきなみ出仕しゅっし仰附おおせつけられ、五年二月二十八日に、御番ごばん見習みならい表医者おもていしゃ仰附けられ、即日見習の席に着き、三月朔に本番にった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あゝ、御番ごばんの衆、見苦しい、お目触めざわりに、成ります。……くくるなら、其の刀を。——何事もなさけ卿様だんなさま思召おぼしめし。……乱心ものゆゑ穏便おんびんに、許して、見免みのがしてつてたも。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
藩内随一の聞え高き御方なるが、若き時より御行跡穏やかならず、長崎御番ごばん御伴おともしての地に行かれしより丸山の遊びに浮かれ、ついにはよからぬともがらまじわりを結びて彼処此処かしこここの道場を破りまはり
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わたしがあけばんときよひのうたゝねからめてつじると、こゝにつめてゐた當夜たうや御番ごばん
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)