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御互
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おたがひ
「
小さい
内から
惡戲ものでね。あいつが
餓鬼大將になつて
能く
喧譁をしに
行つた
事がありますよ」と
坂井は
御互の
子供の
時の
事迄一口洩らした。
知り
栄のしない人間であつたら
御互に不運と
諦めるより仕方がない、たゞ尋常である、
摩訶不思議は書けない。
御互が
御互に
飽きるの、
物足りなくなるのといふ
心は
微塵も
起らなかつたけれども、
御互の
頭に
受け
入れる
生活の
内容には、
刺戟に
乏しい
或物が
潛んでゐる
樣な
鈍い
訴があつた。
彼等は、
日常の
必要品を
供給する
以上の
意味に
於て、
社會の
存在を
殆んど
認めてゐなかつた。
彼等に
取つて
絶對に
必要なものは
御互丈で、
其御互丈が、
彼等にはまた
充分であつた。