従者ずさ)” の例文
義仲寺にうつして葬礼義信をつくし京大坂大津膳所ぜゞ連衆れんじゆう被官ひくわん従者ずさまでも此翁のなさけしたへるにこそまねかざるに馳来はせきたる者三百余人なり。
「誰やらん見知らぬ武士もののふが、ただ一人従者ずさをもつれず、この家に申すことあるとて来ておじゃる。いかに呼び入れそうろうか」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
従者ずさ出来て、こはよくぞ来ましゝ、此日比悩み給ふと聞きつるに、み心地はいかになど問ひつつ、駕籠の戸引きあけつ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かかる事まのあたりに見しこそいと不思議なれとて、八二従者ずさを家に走らしめて残れるなますうみに捨てさせけり。
琵琶湖を渡って大津へ着き、大津から京都へ入ったのは、昨日の夜のことであり、明けるを待って従者ずさもつれず、一人でこうやって訪ねて来たのは、密命を持っているからであった。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひつをおへる従者ずさ 気違ひには手がつけられませぬ。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
東風こち吹くと語りもぞ行くしゅう従者ずさ 太祇たいぎ
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
義仲寺にうつして葬礼義信をつくし京大坂大津膳所ぜゞ連衆れんじゆう被官ひくわん従者ずさまでも此翁のなさけしたへるにこそまねかざるに馳来はせきたる者三百余人なり。
従者ずさの怪しげにさうぞきたるが、大坂漬といふ香の物のなま/\しきを添へて、酒一壺もて来ぬ。せうとの君、これなくてはと飲みて、丸山の姉君にまゐらす。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
梨本御門跡なしのもとごもんぜき様が従者ずさに囲まれ、歩を運ばれる御姿おんすがたであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
米味噌醤油しやうゆ鰹節かつをぶしちや蝋燭らうそくまでをも用意よういして従者ずさにもたせて立いでしは文政十一年九月八日の事なりき。
道のつかれもわすれてうれしくもと横座よこざに皈りし(ゐろりはよこを上座とするは田舎のならひなり)に、こゝには銅鑵やくわんもありしとて、用意の茶を従者ずさが煮たるをのみ