彼方かしこ)” の例文
さう云ふ人々の逸話も亦ここ彼方かしこの家庭に殘つてゐる。その人々の多くは小高い山腹の墓の下に眠つて居る。その家は或はなくなり、或は今に殘つて、其あとの人々を住まして居る。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
始めたが、芹は少い、たでばかりじゃ。赤蓼あかたでが、ほれ、そこにも彼方かしこにも
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かしかるべし御覽ごらんぜずやとわりなくすゝめてしばめづらしくともなでぬひとこゝろのうやむやはらずやしげ木立こだちすゞしくそでかぜむねにしゝうえはたす小田をだ早苗さなへ青々あほ/\として處々ところ/″\かわずこゑさま/″\なるれもうたかや可笑をかしとてホヽしうれもうれしく彼方かしこかやぶきこゝ垣根かきねにはうちしきやうなりはな
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)