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引汐
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ひきしほ
ふりがな文庫
“
引汐
(
ひきしほ
)” の例文
堀割
(
ほりわり
)
は
丁度
(
ちやうど
)
真昼
(
まひる
)
の
引汐
(
ひきしほ
)
で
真黒
(
まつくろ
)
な
汚
(
きた
)
ない
泥土
(
でいど
)
の
底
(
そこ
)
を見せてゐる上に、四月の
暖
(
あたゝか
)
い日光に
照付
(
てりつ
)
けられて、
溝泥
(
どぶどろ
)
の
臭気
(
しうき
)
を
盛
(
さかん
)
に発散して
居
(
ゐ
)
る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
引上げようとすると、いきなり後ろから突き飛ばされました。幸ひの
引汐
(
ひきしほ
)
だつたのと、頭の上に石垣が突き出してゐるので、首まで水につかつてその下に這ひ寄ると、頭の上からいきなりあの石が——
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
唯
(
た
)
だ首を
頷付
(
うなづ
)
かせて、
何処
(
どこ
)
と
当
(
あて
)
もなしに遠くを
眺
(
なが
)
めてゐた。
引汐
(
ひきしほ
)
の
堀割
(
ほりわり
)
に
繋
(
つな
)
いだ
土船
(
つちぶね
)
からは
人足
(
にんそく
)
が二三人して
堤
(
つゝみ
)
の
向
(
むか
)
うの
製造場
(
せいざうば
)
へと
頻
(
しきり
)
に土を運んでゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
築地
(
つきぢ
)
の
河岸
(
かし
)
の船宿から
四挺艪
(
しちやうろ
)
のボオトを借りて遠く
千住
(
せんじゆ
)
の方まで漕ぎ
上
(
のぼ
)
つた帰り
引汐
(
ひきしほ
)
につれて
佃島
(
つくだじま
)
の手前まで
下
(
くだ
)
つて来た時、突然
向
(
むかう
)
から帆を上げて進んで来る大きな
高瀬船
(
たかせぶね
)
に衝突し
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一直線の
堀割
(
ほりわり
)
はこゝも同じやうに
引汐
(
ひきしほ
)
の
汚
(
きたな
)
い
水底
(
みなそこ
)
を見せてゐたが、遠くの
畠
(
はたけ
)
の
方
(
はう
)
から吹いて来る風はいかにも
爽
(
さわや
)
かで、
天神様
(
てんじんさま
)
の
鳥居
(
とりゐ
)
が見える
向
(
むか
)
うの
堤
(
つゝみ
)
の上には
柳
(
やなぎ
)
の
若芽
(
わかめ
)
が美しく
閃
(
ひらめ
)
いてゐるし
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
引汐
(
ひきしほ
)
や
蘆間
(
あしま
)
にうごく秋の雲
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
汐
漢検準1級
部首:⽔
6画
“引汐”で始まる語句
引汐時