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引下
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ひきおろ
博士は「クンカン?」といつて、一寸小首を
傾げたが、その
儘起上つて書棚から新版の辞書を
引下して来た。
一人は黒の中折帽の
鐔を
目深に
引下し、
鼠色の毛糸の
衿巻に半面を
裹み、黒キャリコの紋付の羽織の下に紀州ネルの
下穿高々と
尻褰して、
黒足袋に木裏の
雪踏を
履き
見ると廊下の上、
長押に掛けた槍が二本、手槍の方は提灯を
掲げて見ると
埃を
被っていて、これはモノにならず、二間半の大身の槍を
引下して、毛皮の
鞘を払ってみると
欺かんとするか其儀越前守は
疾より承知なり
加之ならず問に
任せて
主人の惡事を申立る段
實の
忠臣奚ぞ斯る
擧動あるべきや茲な
重々不屆者め
夫引下せと下知の下より
忽ち平左衞門を