まわり)” の例文
まわりくるりとにまわって、前足をついて、棒杭ぼうぐいの上へ乗って、お天気を見るのであろう、仰向あおむいて空を見た。晴れるといまに行くよ。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし文字通り易の釈義を申上げてもまわり遠くて要領を得ない事になりましょうから、わたくしの思いついた事だけを手短てみじかに申上げて見ましょう。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どこから出て来たのか老犬は、おびえ切った様子で尻尾しっぽを振りながら倒れた家のまわりをかけ廻っていた。
九月一日 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
この花畠は——門を入ると一面の芝生、植込のない押開おっぴらいた突当つきあたりが玄関、その左の方が西洋づくりで、右の方がまわり廊下で、そこが前栽になっている。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この時演劇は既に今日こんにち吾人ごじん目睹もくとするが如く、セリだしまわり道具、がんどうがえし等あらゆる舞台装置の法を操座あやつりざより応用し、劇場の構造看客かんきゃくの観覧席をもまた完備せしめき。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わしもちっと冷える気味でこちらへ無沙汰ぶさたをしたで、また心ゆかしにくるわを一まわり、それから例のへ行って、どうせこけの下じゃあろうけれど、ぶッつかり放題
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もう遅いから廓まわりは見合せて直ぐに箕の輪へ行って来ます。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
熱心に教えながら、お鶴の姿を左から、右へぐるりと一まわり
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)