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幼穉
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ようち
ふりがな文庫
“
幼穉
(
ようち
)” の例文
なぜなら、知の働きも無想の前には
幼穉
(
ようち
)
さを示したに過ぎないからです。またはあらゆる作為の腐心をして
拙
(
つたな
)
からしめる自然さの力を。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
其他演劇博物館にある
石膏
(
せっこう
)
の首は
幼穉
(
ようち
)
で話にならない。ラグーザの作というのはまだ見ないでいる。団十郎は決して力まない。力まないで大きい。
九代目団十郎の首
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
この句
固
(
もと
)
より
幼穉
(
ようち
)
なりといへども、しかも三日月を
捻出
(
ねんしゅつ
)
しかつ一気
呵成
(
かせい
)
にものしたる処、
遥
(
はる
)
かに蒼虬の上にあり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
父母たるものは、その
児
(
こ
)
の
幼穉
(
ようち
)
にして感得の力もっとも
盛
(
さかん
)
なるときにあたり、これを
訓
(
おし
)
ゆる、
造次
(
ぞうじ
)
も必ずここにおいてし、
顛沛
(
てんぱい
)
も必ずここにおいてするを
得
(
う
)
。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
或る一少女を作りあげた上に、この
狡
(
ずる
)
い作者はいろいろな人間をとらえて来て面接させたという
幼穉
(
ようち
)
な小細工なのだ、これ以上に正直な答えは私には出来ない。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
木道具や窓の
龕
(
がん
)
が茶色にくすんで見えるのに、
幼穉
(
ようち
)
な現代式が施してあるので、異様な感じがする。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
初めは
何人
(
なんぴと
)
と
雖
(
いえど
)
も甘いものを好み、
漸
(
ようや
)
く成長するに及んでは、砂糖の多い物即ち美味なりとするが如き
幼穉
(
ようち
)
の境を
蝉脱
(
せんだつ
)
して、甘味即美味の妄なるを不知不識の間に会得し
貧富幸不幸
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この点近代人が、木版、手摺の昔の出版界時代を
幼穉
(
ようち
)
に感ずるのも無理がありません。
書を愛して書を持たず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし我が国民は権利に関する観念が
頗
(
すこぶ
)
る
幼穉
(
ようち
)
で、選挙に対しても一向重きを置かず、初めはこれらの機関——府県地方の意思を代表するこれらの機関に対して比較的冷淡であった。
選挙人に与う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
独りで
煩悶
(
はんもん
)
するか。そして発狂するか。額を石壁に
打
(
ぶ
)
ち附けるように、人に向かって説くか。救世軍の伝道者のように
辻
(
つじ
)
に立って叫ぶか。馬鹿な。己は
幼穉
(
ようち
)
だ。己にはなんの修養もない。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
尤
(
もっと
)
も此支那料理、西洋料理も或る食通と云う人のように、何屋の何で無くてはならぬと云う程に、味覚が発達しては居ない。
幼穉
(
ようち
)
な味覚で、油っこい物を好くと云う
丈
(
だけ
)
である。酒は飲まぬ。
文士の生活:夏目漱石氏-収入-衣食住-娯楽-趣味-愛憎-日常生活-執筆の前後
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし自分一人の力で何もかもしなければならないとしたら、どんな人も極めて
幼穉
(
ようち
)
な生活より出来ないでありましょう。否、生きてゆく力さえないでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
寛文に至りて変ぜんとしていまだ変ぜざる俳諧は、延宝に至りてやや変動し初めたり。西山宗因は起つて談林派を唱へたり。
是
(
ここ
)
において貞徳時代の
幼穉
(
ようち
)
なる俳諧は全くその跡を絶ちぬ。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
縦
(
よ
)
し選挙権を拡張し選挙区制を改めても、国民に政治思想が乏しく
公
(
おおやけ
)
に対する道徳
幼穉
(
ようち
)
なれば、同じく諸種の弊害を
醸
(
かも
)
すのである。これに対しては当局者もまたその責を分たねばならぬ。
選挙人に与う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
人の
幼穉
(
ようち
)
なるとき、意を加えてこれを保護せざれば、必ず
病
(
や
)
み、必ず死す。また心を用いてこれを教育せざれば、長ずるに
及
(
および
)
て必ず
頑
(
がん
)
、必ず
愚
(
ぐ
)
にして、蛮夷の間といえども共に
立
(
たつ
)
べからざるに至る。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
雑器であったためこれらのものは長く棄てられてきたが、近時その美的価値がやかましくいわれ、
蒐集
(
しゅうしゅう
)
する者が甚だふえた。誠に技巧から見れば
幼穉
(
ようち
)
なものといえよう。
北九州の窯
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
作り方には長足の進歩がありますが、作られる品にはむしろ退歩が目立つのは大きな矛盾といわねばなりません。なぜ
幼穉
(
ようち
)
だと笑われている手機や
草木染
(
くさきぞめ
)
の方が実着なものを生むのでしょうか。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
幼
常用漢字
小6
部首:⼳
5画
穉
部首:⽲
17画
“幼穉”で始まる語句
幼穉園