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川縁
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かはべり
と
云ふ
時、
袖崎に
續いて、
背後から
並んで
來た五六
臺の
車が、がら/\と
川縁を、
町へ
差して
通過ぎる。
看板の
薄黄色い
灯が、
幕を
開けた
舞臺を
走る
趣に
見えた。
初夜過ぎの
今頃を
如何に
夏の
川縁でも
人通りは
絶えてない。
人も
車も、いづれ
列席したものばかりで、……
其の
前後の
車の
中から、
彼は
引外して、
此處に
入つて
來たのである。