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かはばた
長吉は観劇に対する
此れまでの経験で「夜」と「
川端」と
云ふ事から、きつと
殺し
場に違ひないと
幼い好奇心から
丈伸びをして首を
伸すと、
果せるかな
邸の裏の
川端に繁つた
蘆の間を通り、天滿の出入商人
納屋小左衞門方へ忍ばせた。
おほみそかは
大薩摩の、もの
凄くも
又可恐しき、
荒海の
暗闇のあやかしより、
山寺の
額の
魍魎に
至るまで、
霙を
錬つて
氷を
鑄つゝ、
年の
瀬に
楯を
支くと
雖も、
巖間の
水は
囁きて、
川端の
辻占に
もう
一度、
念入りに
川端へ
突き
當つて、やがて
出たのが
黒龜橋。