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屑
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いさぎよし
ふりがな文庫
“
屑
(
いさぎよし
)” の例文
不断講釈めいた談話を
尤
(
もっと
)
も嫌って、そう云う談話の聞き手を求めることは
屑
(
いさぎよし
)
としない自分が、この青年の為めには
饒舌
(
じょうぜつ
)
して忌むことを知らない。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「やあ、御帰り」と宗近君が煙草を
啣
(
くわ
)
えながら云う。藤尾は
一言
(
いちごん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
すら返す事を
屑
(
いさぎよし
)
とせぬ。高い背を高く
反
(
そ
)
らして、
屹
(
きっ
)
と部屋のなかを見廻した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一説に依れば仏人の
脚肉
(
きやくにく
)
を食ふは、
故
(
ことさ
)
らに英人の風習に従ふを
屑
(
いさぎよし
)
とせざる意気を粧ふに過ぎず。故に仏人の
熱灰
(
ねつくわい
)
上に鱷の脚を
炙
(
あぶ
)
るを見て、英人は冷笑すと。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼は明治九年前原一誠の乱、嫌疑を
被
(
こうむ
)
り、官囚となるを
屑
(
いさぎよし
)
とせず、
自
(
みず
)
から六十余歳の
皺腹
(
しわばら
)
を
屠
(
ほふ
)
りて死せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
文三が昇に一着を輸する事を
屑
(
いさぎよし
)
と思わぬなら、お勢もまた文三に、昇に一着を輸させたくは有るまい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
ただ外面にこれを尊敬するの風を装い、「敬してこれを遠ざくる」のみなれば、学者もまたこれに近づくを
屑
(
いさぎよし
)
とせず、さりとて俗を破りて独立の事業をくわだつるの気力もなく
慶応義塾学生諸氏に告ぐ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
偶々
(
たまたま
)
軍需景気の倖運児の妾となったが、元来妾という裏切り行為を
屑
(
いさぎよし
)
とせず、断然之を精算して、自ら進んで名家の正妻となったけれども、散々苦労の末、遂に破鏡の憂目に遭った。
安吾人生案内:06 その六 暗い哉 東洋よ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
拙者の心に
屑
(
いさぎよし
)
とせざるものと
成果
(
なりはて
)
候段、歎息の外無之候。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「ええ」と
素気
(
そっけ
)
なく云い放つ。
極
(
きわ
)
めて低い声である。答を与うるに
価
(
あたい
)
せぬ事を聞かれた時に、——相手に
合槌
(
あいづち
)
を打つ事を
屑
(
いさぎよし
)
とせざる時に——女はこの法を用いる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
文化元年十三歳の時愷の兄
友春
(
いうしゆん
)
に汚行があつて、父玄昌はこれを恥ぢて自刃した。愷は兄の許にあるを
屑
(
いさぎよし
)
とせずして家を出で、経学の師嘉陵村尾源右衛門と云ふものに倚つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
“屑”の意味
《名詞》
(くず)こわれて、つかわなくなったもの。
(くず) なんの役にもたたないもの。
(くず) よいところをとったあとにのこったもの。
(出典:Wiktionary)
屑
漢検準1級
部首:⼫
10画
“屑”を含む語句
鋸屑
木屑
鉄屑
屑屋
藁屑
屑鉄
塵屑
削屑
紙屑買
屑買
火屑
紙屑問屋
紙屑
藻屑
鉋屑
屑籠
糸屑
星屑
紙屑屋
大鋸屑
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