寒餅かんもち)” の例文
解剖室からすこし離れたところに、麻雀卓マージャンたくをすこし高くしたようなものがあって、その上に寒餅かんもちけるのに良さそうなつぼが載せてあった。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
寒餅かんもちはわるくならぬ。水にひたして置いて、年中の茶受ちゃうけせわしい時の飯代り、多い家では一石も二石も搗く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかしそれは折から階下したのかみさんが焼き初めた寒餅かんもちにおいにまぎらされて確かめる事が出来なかった。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
寒餅かんもちでもだつたか、家内かないつて、このとき、はじめて、座敷ざしきはうのふすまをけた、……とおもふと、ひし/\とたゝみにくひんで、そのくせぶやうなおとてて、「みづみづ……」なんと、つと
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
... く時お米と一所に蒸して搗き込みますと大層美味しいお餅が出来ます。それは上等の油で揚げて食べるのが一番です」妻君「そうでございますか、今に寒餅かんもちを搗かせますから試してみましょう。くずを ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
春雷しゆんらいゆきかそけかる夜なりけり寒餅かんもちの水の雫切らしむ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)