いい)” の例文
「シカシ、毒が無くッていい」と誰だか評した者が有ッたが、これは極めて確評で、恐らくは毒が無いから懶惰で鉄面皮で自惚で法螺を吹くので
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
傳「どうも感心でげすね、姉様ねえさんを大事になすって、お中がいいって実に姉弟でう睦ましくうちはねえてえ村中の評判でございますよ、へえ御免なさいよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
のろけたッていいじゃアないか亭主の前でのろけるのだものと立どころに応えて、貞之進の淋しそうな顔をじろりと視ると、あなたいつ歌ちゃんをお神さんになすったの
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
田舎いなかではわらびの根も田螺たにしも、藁も杉の皮も食うと言うが、江戸の者は一体何を食やあいいんだ——昨日も昌平橋の側で三人、今日はお茶の水で二人、此界隈だけでも、何十人何百人行倒れになるか
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
さてその英語を学ぶと云うことについ如何どうしていい取付端とりつきはがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「人が黙ッていれば好気いいきになってあんな事を言ッて、あんまりだからいいワ。私は三歳の小児じゃないから親の恩位は知ていますワ。知ていますけれども条理……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
手前は度胸がなくってもあまア度胸がいいから殺してくれエといい兼ねゝえ、キュウと遣ったな
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あなたと小歌さんです争われないのねえお奢んなさいと云って、やきもちが浜田さんだって、いい加減におしよと小歌の脊中をぶったのに意味があったようだが、貞之進は全体が何事とも分らない
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
何時いつもならば文三にもと言うところを今日は八したゆえ、お鍋が不審に思い、「お二階へは」ト尋ねると、「ナニ茶がカッくらいたきゃア……いわないでもいいヨ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
公園の薄茶一碗突合わずに居た目賀田貞之進が、愚直と斥けられた今に及んで、たとい自分が芸妓を呼たいためといわないまでも、聞くさえが畢生ひっせいの恥辱のように思われ、どうしたらいいかということが
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)