安直あんちよく)” の例文
野山のやまに、によき/\、とつて、あのかたちおもふと、なんとなく滑稽おどけてきこえて、大分だいぶ安直あんちよくあつかふやうだけれども、んでもないこと、あれでなか/\凄味すごみがある。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは安直あんちよくに山の空氣を吸ひたいといふ人達の便を計つて、ヂョウシア・ランキン氏が建てたものである。そこの經營は愉快な程下手へたで、現代風の改良など施さず、萬事古風のまゝである。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
いや、色氣いろけどころか、ほんたうに北山きたやまだ。……どうふだ。が、家内かない財布さいふじりにあたつてて、安直あんちよくたひがあれば、……魴鮄はうぼうでもいゝ、……こひねがはくは菽乳羮ちりにしたい。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしは、安直あんちよく卷莨まきたばこかしながら、夜番よばん相番あひばんと、おなじ彌次やじたちにはなしをした。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おかゝは、うんと藤村家ふぢむらやおごらせて、安直あんちよくなことは、もづくのではない。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)