妨害ぼうがい)” の例文
我々は他が自己の幸福のために、おのれの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害ぼうがいしてはならないのであります。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そういって、うまちかづきました。馬子まごは、同情者どうじょうしゃがあらわれると、交通こうつう妨害ぼうがいとなって、しかられるのをおそれたけれど、いくぶんか大胆だいたんになりました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「山形君、大急ぎで地階へおりてくれたまえ。そして発電装置を破壊するんだ。ぼくはそれまで、この操縦装置を動かして、向こうの電波を妨害ぼうがいするから——」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
初めはさかんに矢を射たり小銃を乱射して、妨害ぼうがいを試みていたが、その矢玉も、城外の野戦でつかい尽し、すでに残り少ないことが織田軍にも見抜かれていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼に正反対の論者ろんしゃが発言権を求めたとき、場内において発言を妨害ぼうがいせんとしたかれの同志に向かって
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
黄色いちゃんぽんうどんの一ぱいを親子で分けあった長い生活、それも、道路妨害ぼうがいとかでめさせられると、荷車をいて北九州の田舎をまわった義父の真黒に疲れた姿
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
いま一つぼくの逃走とうそう妨害ぼうがいしたのは電光だ、夜になれば逃走は安全だと思っていたのに、電光はやみを破ってぼくのすがたを照らし、追跡者ついせきしゃに発砲の機会をあたえたのだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
武村たけむらが、とう/\御安眠ごあんみん妨害ぼうがいしましたね。』と、水兵すいへいめいじて二個にこ倚子ゐす近寄ちかよせた。
営業上の妨害ぼうがいになるから最早もう決して乃公を寄越してくれるなと断って行った。お春さんが止めても怒っているから承知しない。ぷりぷりして帰って行った。森川さんは短気な人だ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
図体の大きい使丁が物音におどろいて凄い剣幕を見せながら跳びこんでくる、彼は気短かに呶鳴り続けた。この教室の騒々そうぞうしさがコンクリートの壁をとおして他の課業を妨害ぼうがいするというのである。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
初演の夜、聴衆は敵意に燃えて、非難と嘲笑ちょうしょう妨害ぼうがいのうちに劇は進んだが、聴衆はいつの間にやら不思議な感銘かんめいに引き入れられて、次第に静粛せいしゅくになるのをどうすることも出来なかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
我利々々亡者がりがりもうじゃれんが他の者の事業を妨害ぼうがいしたり、競争者を中傷ちゅうしょうしたり、人身攻撃じんしんこうげきをしたり、捏造説ねつぞうせつをはいたり、その他卑劣ひれつな方法によりて得る利益は、僕のいう最良の利益とはあい反するものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)