大音声だいおんじょう)” の例文
旧字:大音聲
いうや、大手をひろげてその行く手をさえぎろうとしましたので、突きのけておくと右門は小気味のいい啖呵たんか大音声だいおんじょうできりました。
が、ガラッ八の大音声だいおんじょうきもつぶした上、近所のざわめき始めたのに気おくれがしたらしく、縁側の戸を開けて、パッと外の闇へ——。
全山にとどろくばかりの大音声だいおんじょうは、山々の峰にこだまして、なみいる大衆の心をゆさぶった。前座主は、東塔の南谷みなみだに、妙光坊に入られる事になった。
そこで彼は手綱を振って、大音声だいおんじょうをあげて、今度はななめに向わずに、怪物のおそろしい真正面めがけて、天馬を進めました。
大音声だいおんじょうではあるが、物頭は噛んで含めるように、繰り返し繰り返し、その声もつぶれきるほど風の中で告げるのだった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわんや一発を送るたびに総軍力を合せてわーと威嚇性いかくせい大音声だいおんじょういだすにおいてをやである。主人は恐縮の結果として手足に通う血管が収縮せざるを得ない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大音声だいおんじょうによばわりつつ、猛然と三好勢のまっただ中へ斬りこんだ。——それにつづく者三、四十騎、どっとばかり面もふらず、殺到する。見るより元親は
だんまり伝九 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
刀をかまえて目を四方にくばりつつ、大音声だいおんじょうをあげましたが、もはや人の顔もわからぬたそがれの闇のなかに、黒装束の曲者は、ひとことの口もききません。
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
雲水の僧は庫裏くりへ現れ、弁兆の眼前を立ちふさいだ。それから、破れ鐘のような大音声だいおんじょうでこう問うた。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
こなたには礼を言いてわざと召使いの者を例の大音声だいおんじょうにしかり飛ばさるるその声は、十年がほども継母の雄弁冷語を聞き尽くしたる耳にも今さらのように聞こえぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
千坂杢之介は馬上に突っ立ち大音声だいおんじょうに呼ばわったが、敵が意外に強いので自分ながら不安になった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
月明の霜朝に、自分等に代って断頭場に向った大先輩、武部小四郎先生の壮烈を極めた大音声だいおんじょう
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
甲高い、耳がびんびんするような大音声だいおんじょうで、そんな文句が述べ立てられた。
と、中門ちゅうもん口に立ちはだかって、無類の大音声だいおんじょうで見参する。稚気をおびた嫌がらせにすぎないが、輿入れや息子の袴着祝などにやられると災難で、大祓おおはらいをするくらいでは追いつかないことになる。
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「じゃあ、私がどなってみましょう」そういって貝谷は、大音声だいおんじょうをあげ
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
弁慶を取って押えた仏頂寺は、看客の方に向い大音声だいおんじょう
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして、にわかに大音声だいおんじょうが、雲の間にひびきわたった。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
晁蓋ちょうがい以下も、みな片手に白刃を隠し持っていたのである。呉用は、大音声だいおんじょうで言った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
意外な人の姓名を大音声だいおんじょうで天井めがけながら呼びました。
そして大音声だいおんじょうをはりあげた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、敵のみか、後ろの城門へも聞えるような大音声だいおんじょうでまず呶鳴った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いとも正々堂々と大音声だいおんじょうに呼ばわりました。
直義は、かしこまって、親船のみよしから大音声だいおんじょうで味方へ告げた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天雷てんらいくだるかの大音声だいおんじょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)