大野おおの)” の例文
十余年ぜんことごとく伐採したため禿げた大野おおのになってしまって、一夕立ゆうだちしても相当に渓川がいかるのでして、既に当寺の仏殿は最初の洪水の時
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
眼がさめると、階下した大野おおのさんが来ている。起きて顔を洗って、大野さんの所へ行って、骨相学こっそうがくの話を少しした。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
加州の家来奥村主殿おくむらとのも、若党四人に大唐櫃をかつがせ、手代りの人足二人を従え、外に侍姿の若い男——大野おおの鶴次郎つるじろうと連れ立って茶店の縁台にドカドカと腰をおろしました。
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
同じクラスのお友だちは、みなひじょうにおどろいて、泰二君の身のうえを心配しましたが、中にも胸をさわがせたのは、大野おおの君、斎藤さいとう君、上村かみむら君という三人の少年探偵団員でした。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大野おおのまちからくるまをひいて油売あぶらうり、半田はんだまちから大野おおのまちとお飛脚屋ひきゃくやむらから半田はんだまちへでかけてゆく羅宇屋らうやとみさん、そのほか沢山たくさん荷馬車曳にばしゃひき、牛車曳ぎゅうしゃひき、人力曳じんりきひき、遍路へんろさん、乞食こじき
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
蟹江からわずか小一里、蟹江川の同じ蘆荻ろてきに沿って、大野おおのノ城がある。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぎ大野おおのまちきゃくおくってきた海蔵かいぞうさんが、むら茶店ちゃみせにはいっていきました。そこは、むら人力曳じんりきひきたちが一仕事ひとしごとしてると、つぎのおきゃくちながら、やすんでいる場所ばしょになっていたのでした。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)