大神楽だいかぐら)” の例文
「暮といえば、去年の暮に僕は実に不思議な経験をしたよ」と迷亭が煙管きせる大神楽だいかぐらのごとく指のさきで廻わす。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
葛西かさいから婿に来る前は、大神楽だいかぐらの一座にいたそうで、道化は天稟の名人、潮吹ひょっとこの面を冠って、倶利迦羅紋々くりからもんもんの素肌を自慢の勇みの間に交り、二つの扇を持って
大神楽だいかぐらの増鏡磯吉、綱渡りの勝代、曲芸の玉本梅玉あたりを一座として、日本の朝野ちょうやがまだ眠っている時分に、世界の大舞台へ押出した遊芸人の一行があります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
踊屋台おどりやたいがくる、地走り踊がくる、獅子頭ししがしら大神楽だいかぐら、底抜け屋台、独楽こま廻し、鼻高面はなたかめんのお天狗さま。
併し又世上にはこの外交上の大難問題を丸一まるいち大神楽だいかぐらの如く自由に操縦して、逆に外交上の便宜に利用し、銀山鉄壁の如き上官、重役の威厳を指呼の間に土崩瓦解せしめ
謡曲黒白談 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
打水よきほどに済みし表町の通りを見渡せば、来るは来るは、万年町まんねんてう山伏町やまぶしてう新谷町しんたにまちあたりをねぐらにして、一能一術これも芸人の名はのがれぬ、よかよかあめや軽業師、人形つかひ大神楽だいかぐら
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これに拠りますと、彼らの職業は主として狩猟でありまして、常に弓馬に熟し、また剣舞の様な事、大神楽だいかぐらの様な事、人形舞わし・物真似ものまね手品使てじなつかいの類、種々の伎芸をやっておった。
手品てじな剣舞けんぶ幻燈げんとう大神楽だいかぐら——そう云う物ばかりかかっていた寄席は、身動きも出来ないほど大入おおいりだった。二人はしばらく待たされたのち、やっと高座こうざには遠い所へ、窮屈きゅうくつな腰をおろす事が出来た。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大神楽だいかぐら!」
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それでも禁裡きんりに由緒ある本格の神楽師ならば、こうして浮浪の大神楽だいかぐらみたように、軽々しくは通るまい。そうかといって、大神楽師にしては、この連中、品格があり過ぎる。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
人形舞にんぎょうまわしとか、猿舞わしだとか、祭文さいもん・ほめら・大神楽だいかぐら・うかれ節などを始めとして、田楽でんがく猿楽さるがく等の類まで、もとはみなこの仲間でありまして、遂には歌舞伎役者とまでなって参ります。
大神楽だいかぐら!」
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)