おびた)” の例文
「いや御覽ごらんごと亂雜らんざつ有樣ありさまで」と言譯いひわけらしい返事へんじをしたが、それをいとくちに、子供こども世話せわけて、おびただしくかゝことなどを色々いろ/\宗助そうすけはなしてかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彦七の横びんからおびただしい血が噴き出すのとその体が倒れるのと殆んど一緒でした。鍛冶屋は夢中になつてヤツトコを振り上げて倒れた彦七の上にのつかゝりました。
火つけ彦七 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
さして來りければ道筋みちすぢ見物けんぶつやまをなしておびただしく既に御城代屋敷へ到り乘物のりもの玄關げんくわん横付よこづけにせん氣色けしき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それだからかねのいることおびただしい。定額では所詮しょせん足らない。尼寺のおばさん達が、表面に口小言くちこごとを言って、内心に驚歎きょうたんしながら、折々送ってくれる補助金を加えても足らない。
雲の中に含まれてゐるおびただしい電気が、それと一緒に結びつく為めに引くからだ。
「いや御覧のごとく乱雑な有様で」と言訳らしい返事をしたが、それをいとくちに、子供の世話の焼けて、おびただしく手のかかる事などをいろいろ宗助に話して聞かした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
可笑をかしけれど樣々介抱かいはうなしゐしがおびただしく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
情合じょうあいのない事おびただしいものだ。そんなら立つ前にもう一遍こっちから暇乞いとまごいに行くよ、いいかい」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)