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塀越
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へいごし
そうした場合には、往来へ
塀越に差し出た
樹の枝から、黄色に染まった
小さい葉が、風もないのに、はらはらと散る
景色をよく見た。
襖障子が
縱横に
入亂れ、
雜式家具の
狼藉として、
化性の
如く、
地の
震ふたびに
立ち
跳る、
誰も
居ない、
我が
二階家を、
狹い
町の、
正面に
熟と
見て、
塀越のよその
立樹を
廂に
親切な
其家の主人は
中門を開いて
内庭へ導き、画家の昔の
邸も改築せられて
仕舞つた
今日唯残つて居るのは
彼れ
丈だと云つて、
塀越に隣の家の内庭にある二階
家を指さして説明して
呉れた。