塀越へいごし)” の例文
そうした場合には、往来へ塀越へいごしに差し出たの枝から、黄色に染まったさい葉が、風もないのに、はらはらと散る景色けしきをよく見た。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ふすま障子しやうじ縱横じうわう入亂いりみだれ、雜式家具ざふしきかぐ狼藉らうぜきとして、化性けしやうごとく、ふるふたびにをどる、たれない、二階家にかいやを、せままちの、正面しやうめんじつて、塀越へいごしのよその立樹たちきひさし
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
親切なその家の主人は中門ちゆうもんを開いて内庭うちにはへ導き、画家の昔のやしきも改築せられて仕舞しまつた今日こんにちたゞ残つて居るのはだけだと云つて、塀越へいごしに隣の家の内庭にある二階を指さして説明してれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)