うしの)” の例文
初めてぐううしのうて鰥居無聊かんきょむりょうまたでて遊ばず、ただ門につて佇立ちょりつするのみ。十五こう尽きて遊人ゆうじんようやまれなり。丫鬟あかんを見る。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
竹取翁 なよたけは信ずるものをうしのうた。なよたけの夢はうつから消えて行くのじゃ。……竹取ノ翁もなよたけのかぐやも無明の中に消えて行くのじゃ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
昔アラビヤのアブ・ハサンてふ者カウカバン市で商いし大いに富んだが、妻をうしのうて新たに室女きむすめめとり大いに宴を張って多人を饗し、婦人連まず新婦に謁し次にアをぶ。
だが、橘の顔はぞくぞくするほどの予感で、あおざめてその色をうしのうて行った。それは彼らがそのいのちの的をりあうために遠くにかけって行ったものに、毛毫もうごう相違なかったからだった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
熱地の猴故雪山を楽土と心得たのだ。猿が猴智慧でその身をうしのうた例は支那にもあり。
空中より鷲を落し、世間恐怖もて満たされ、一国のために人口の半ばをうしのうたと吹き立て、衆経撰『雑譬喩ぞうひゆ経』に、昔賈客こかく海上で大竜神に逢う、竜神汝は某国に行くかと問うに、往くと答えると