かず)” の例文
是天地方円はうゑんあひだ生育そだつゆゑに、天地のかたちをはなれざる事子の親にるに相同じ。雪の六出りくしゆつする所以ゆゑんは、ものかず長数ちやうすういん半数はんすうやう也。
いずこにおさめてあるかそのかずに不足を生ぜざるか改めて見んともせず、ひたすらにまた日暮を待ちたり、日はやがて暮れたり
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
旧師のストークスもそのかずに加わっており、わざわざアイルランドから出かけて来たが、会議中ただの一語も発せずに坐っていたそうである。
レーリー卿(Lord Rayleigh) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夫人はさすが年紀としの功、こは癈疾かったいと棒ちぎり、身分に障ると分別して、素直に剰銭つりださるれば、丁寧にかずを検し、繻子しゅすの帯にきゅっとはさみぬ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その浪人を以てかずてむと欲したのは、諸藩の士には各其主のために謀るおそれがあるとおもんばかつたが故である。わたくしはこゝに堂上家の名を書せずに置く。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
顔色がんしょく土のごとく恐怖せる洋妾ラシャメンを励まして、直ちにもららしめたる金貨百円を、三郎の前に差出さしいだせば、三郎はかずを検してこれを納め、時計を返附して応接室を立出で、待構えたる従者を呼べば
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吸物、平、なます煮染にしめ、天麩羅てんぷら等、精進下物の品々を料理し、身一個をふり廻して僕となり婢となり客ともなり主人ともなって働きたり、日暮るれば僧も来たり、父老、女房朋友らのかずも満ち
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)