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じゅもん
ふりがな文庫
“
咒文
(
じゅもん
)” の例文
と、淵辺の血走ッた眼は
咒文
(
じゅもん
)
のように呟いた。何かが
憑
(
の
)
り移ったもののごとく、両の膝がしらで、ジリジリ前へすすみ出ながら。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で法王がその履を穿くとご病気が起ったとかいうのでだんだん
詮議
(
せんぎ
)
の末その履の中を調べて見ると、ポン教の
咒文
(
じゅもん
)
が入って居ったという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
堅紙の表紙に父の「お家流」の見出しが敦厚な書体で書いてあるのが、見る毎に何かの
咒文
(
じゅもん
)
のように私の目に映った。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
しかし彼は
咒文
(
じゅもん
)
でもかけられたように、たじろいていた。彼は極度の好奇心に呆然としていたのだ。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
教授の手にある講義のノートに
手垢
(
てあか
)
が
溜
(
た
)
まるというのは名誉なことじゃない。クラーク、クラークとこの学校の創立者の名を
咒文
(
じゅもん
)
のように
称
(
とな
)
えるのが名誉なことじゃない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
鉄冠子はそこにあった青竹を一本拾い上げると、口の
中
(
うち
)
に
咒文
(
じゅもん
)
を唱えながら、杜子春と一しょにその竹へ、馬にでも乗るように
跨
(
またが
)
りました。すると不思議ではありませんか。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「わたくしは一種の
咒文
(
じゅもん
)
を知っていまして、それを念じると能く異鳥に化けることが出来ますので、夜のふけるのを待って飛び出して、すでに数百人の子供の脳を食いました」
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鍋だの釜だの味噌だの米だのみんな二百円の
咒文
(
じゅもん
)
を負い、二百円の咒文に
憑
(
つ
)
かれた子供が生まれ、女がまるで手先のように咒文に憑かれた鬼と化して日々ブツブツ呟いている。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
日本では、この単語は、どんな人間でも抹殺しうる無限の力をもった
咒文
(
じゅもん
)
になっている。
ノア
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
だから、ある時は、修験者のかける大きなつぶの
数珠
(
じゅず
)
を首からかけて、みけんへ深い
立皺
(
たてじわ
)
をよせて
真言
(
しんごん
)
秘密、九字の
咒文
(
じゅもん
)
をきっていることもある。あたしの父が、悪太郎の時分からの知りあいだ。
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから軽く
瞑目
(
めいもく
)
し、
咒文
(
じゅもん
)
を唱え印を結んだ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
以前の彼は、六波羅の猟犬だったが、兵学者時親に飼われてからは、予言者の
咒文
(
じゅもん
)
に指さされた人間のように、くるりと宮方へ転身してしまったのである。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜陰
(
やいん
)
の
森中
(
もりなか
)
に、
鬼火
(
おにび
)
の燃える
鼎
(
かなえ
)
の中に
熱湯
(
ねっとう
)
をたぎらせて、
宗盛
(
むねもり
)
に似せてつくった
藁
(
わら
)
人形を
煮
(
に
)
ました。悪僧らはあらゆる悪鬼の名を呼んで、
咒文
(
じゅもん
)
を唱えつつ
鼎
(
かなえ
)
のまわりをまわりました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
と、
咒文
(
じゅもん
)
を唱えながら、一心不乱にセンベイをひっくりかえして焼いている。
落語・教祖列伝:02 兆青流開祖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい
九字
(
くじ
)
を切りながら、何か
咒文
(
じゅもん
)
のようなものを口の内に繰返して、
匀々
(
そうそう
)
歩きはじめました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一人あるいは二人の従者を引き連れて、そうしてその
寂寥
(
せきりょう
)
なる山間の道場に入って秘密の法則でもって防霰弾を沢山に製造して、一種の
咒文
(
じゅもん
)
を唱え、その一つ一つに咒文を含ませて置くんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ということばは、初めは雲の上の
咒文
(
じゅもん
)
のごとく、また、ごく一部の幕府主脳の秘語としてしか
咡
(
ささや
)
かれていなかったが、正中ノ変このかた、表沙汰となり、今日では、たれの口にもつかわれている。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、更に一言、
咒文
(
じゅもん
)
の様につけたした。
明治開化 安吾捕物:21 その二十 トンビ男
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼は又、
咒文
(
じゅもん
)
をとなえた。
肝臓先生
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
咒
漢検準1級
部首:⼝
8画
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
“咒”で始まる語句
咒
咒詛
咒咀
咒術
咒縛
咒符
咒封
咒法
咒師
咒教