古川ふるかわ)” の例文
「いや、緒方だろうよ。古川ふるかわに水絶えず、だ/\何処かに底力がある。今度だってモスリンの取締に納まった」
村一番早慶戦 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それは麻布の古川ふるかわの近所に住んでいる熊の膏薬屋が店の看板代りに飼って置いたものであることが判った。
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
古川ふるかわの持っている田圃たんぼ井戸いどめてしりを持ち込まれた事もある。太い孟宗もうそうの節を抜いて、深く埋めた中から水がき出て、そこいらのいねにみずがかかる仕掛しかけであった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仙台から古川ふるかわあたりにかけて、お百姓がかぶっている笠を見ますと、他の国のと形や編み方が違うのが気附かれます。また好んで背負う竹籠に「壺笊つぼざる」と呼んでいるものがあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
第五は芝の桜川さくらがわ根津ねず藍染川あいそめがわ、麻布の古川ふるかわ、下谷の忍川しのぶがわの如きその名のみ美しき溝渠こうきょ、もしくは下水、第六は江戸城を取巻く幾重いくえほり、第七は不忍池しのばずのいけ角筈十二社つのはずじゅうにそうの如き池である。
節蔵が脱走した後でもって、脱走艦は追々函館はこだていって、れから古川ふるかわの長崎丸と一処いっしょまた此方こっちへ侵しに来た、とうのは官軍方のあずま艦、すなわち私などが亜米利加アメリカからもって来た東艦が官軍の船になって居る
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
関白基房は、鳥羽とば古川ふるかわのあたりで髪を下して出家した。
麻布あざぶ古川ふるかわ芝山内しばさんないの裏手近くその名も赤羽川あかばねがわと名付けられるようになると、山内の樹木と五重塔ごじゅうのとうそびゆる麓を巡って舟楫しゅうしゅうの便を与うるのみか、紅葉こうようの頃は四条派しじょうはの絵にあるような景色を見せる。