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取迯
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とりにげ
見ながら
如何に
私し事
下部は
致し候へども
取迯など
仕つりし
覺え
御座なく是
迄多く
粂之進方へ女中の
奉公人來り候へども一ヶ月とは
勤めず
何れも
早々に暇を
粂之進は見てハツと思へども
態と何氣なく
那の者は
拙者方にて
取迯致候者と
云乍ら七
助に
向ひ
偖は其方
梅と
密通致し
我が
金子を
奪ひ
迯亡させつるか
憎き
奴今茲に於て
何事をか
云詞を
因て勘兵衞の妻お貞は
倩々考ふるに彼の彌七が
取迯の事より出入となりて
夫勘兵衞殿御
仕置となられしなり彌七が事さへなければ
舊惡露顯もなすまじきものを如何にも
口惜き
事哉此上は彌七を