取籠とりこ)” の例文
フォウブルグ・サン・ジ※ルマンのたけの高い屋敷町に取籠とりこめられたこの庭でたつた一人がどんなに笑ふとしたところで周囲の朝寝を妨げはしない。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
ば懸たりけるかくるより大膳はことあらはれしと思ければ刀引拔勢ひたけ縱横たてよこ十文字に切て廻り切死せんとはたらくを大勢にて取籠とりこめつゝ階子はしごを以て取押とりおさへ漸く繩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いうこと信ぜられず、すること皆人のうたがいを増すをいかにせむ。ひしと取籠とりこめて庭にもいださで日を過しぬ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誰にもあれ、そむく者は、この一戦の終るまで、獄へ下して取籠とりこめておくしかない。敢て、今日の合戦に、軍律をみだす者は誰と誰か。お名乗りなさいっ。断乎だんこ、処決する
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現実的の精力を取籠とりこめられて行く人にありがちな、何となく世間に対しては臆病おくびょうでありながら、自己の好みに対しては一克いっこく癇癖かんぺきのようなものを持っていた。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いふこと信ぜられず、することみな人のうたがいを増すをいかにせむ。ひしと取籠とりこめて庭にもいださで日を過しぬ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
呂蒙りょもうなどという呉将の名だたる手勢手勢が、ときを作り、銅鑼どらをたたき、一度に取籠とりこめて猛撃して来たため、空陣の袋に入っていた曹仁以下の兵は、度を失い、さわぎ立って
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一同、入乱れて、遮りとどむるを、振払い、くぐって、はて真中まんなか取籠とりこめられる。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)